衛星データについて(1)

衛星データについて(1)

衛星による軌道上からの地球観測データについて、まだピンときていない学生がけっこういるので、わかりやすい説明を用意しました。

JAXAの陸域観測衛星「ALOS(だいち)」は、こんな衛星でした。

地球観測衛星「ALOS(だいち)」は、2011年3月11日の東日本大震災で、被災状況確認にフル活用されたあと、5月12日に電力異常で運用が終わりました。寿命をうわまって働きつづけた”いい子”です。いまも「ALOS(だいち)」によって取得されたデータは、さまざまな分野でつかわれています。

ただ、利用の範囲がまだまだせまいように思います。いわゆる専門家による利用がほとんどで、一般の人々にまではひろがっていません。ホントは、ちょっと学習すれば誰でもつかえる便利なデータです。大学での研究には最適ですから、ぜひ、その内容を理解してください。

たとえばこの画像は、「ALOS(だいち)」によって取得された地上のデータで、現代の景観を3次元で構築し、そのうえに古代の景観を再現したものです。だから遠方の山並みや周囲の景観も正確です。(埼玉県日高市の巾着田)

高麗郷

これらをもとに、川の蛇行の変化や地殻変動の影響などをくわえて修正してゆくと、各時代における地形を、より正確に再現できるでしょう。歴史地理の研究にはもちろんですが、地域のPRやエンターテイメントにも活用できます。
このCGは、例によって諏訪の後藤克典さんにお願いしたものです。

「nstl Kosmo Rondo」のWebサイトに、Movieを使ってさらに詳しい説明を書きました。ぜひ、ごらんください。
上のCGの動画は、「nstl Kosmo Rondo」の「図書室」→「Movie Gallerly」にあります。こんな使い方がるのか、と思っていただけはずです。

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宇宙開発に関する情報(1)

京都大学文学部社会学研究室でおこなった「宇宙開発に関する世論調査」の報告書が、公開されました。

日本の有人宇宙開発について考えるうえで、たいへんに興味深い報告が出ています。ぜひ、ごらんください。

この調査報告書をもとにした論文を、いま用意しているところです。できるだけ早期に出したいと思いますが、そのまえに一つ、後述するwebページをまとめたので、ごらんください。

「宇宙開発に関する世論調査」の報告書には、調査した学生たちによるさまざま感想が述べられています。そうしたなかに、「宇宙開発にかんする情報がもっと多かったら、結果はさらにちがっていたかもしれない」という意味の感想が、かなりあったように思います。これは、たいへん重要な部分ではないかと考えています。

宇宙開発、あるいは宇宙探査などの動向については、「はやぶさ」に象徴されるように、ずいぶんと世間に公表されています。しかし、いざ、「宇宙開発に関する世論調査」というかたちでアンケートを実施すると、その結果に対して「情報がもっと多かったら」という感想が生まれるのは、”公表”されている中身が、かならずしも日本の宇宙開発全体を考えるための材料になっていないのではないか、と思われます。

かつて「日本の宇宙開発にはグランド・デザインがない」とよくいわれたものです。会合や懇親会などがあると、宇宙関係者だけではなく、メディアの人々も参加し、そういう議論がおこなわれていたものです。しかしいまや、そうした言葉も聞こえてこなくなりました。なぜでしょうか。

学生諸君が感じたように、情報が少ないことが影響しているのかもしれません。特定のプロジェクトや、衛星打ち上げの成功、あるいはISSからの宇宙飛行士のメッセージなどは、ちゃんと報道されているものの、これから日本はどうすべきかという”骨太”の部分にかかわる情報は、たしかに少ないようです。また、そうした”骨太”の部分を考えるうえで重要な細かな情報も、少なくなっているように思います。

情報は「揮発性」です。あるていどの時間が経過すると、消えていってしまいます。必要な情報は、消えていたからといってあきらめて放置するのではなく、くりかえし世の中に向けて発信しなければならないと感じました。

宇宙開発を考えるとき、無理に技術的な問題にまで足を踏み入れる必要はない、と私は考えています。しかし、”骨太”の部分を考えるためには、理解しておいた方がいい場合もあります。ロケット・エンジンの技術も、その一つです。

かつてH2(H2Aの前身)ロケットによる衛星打ち上げが連続して失敗したときメディアは、130数回の打ち上げに成功しているESA(ヨーロッパ宇宙機関)のアリアン・ロケットを引き合いに、日本の宇宙開発を叩き続けました。ときの官房長官さえも、ロケット開発の担当者に、「・・・・(ここではとても書けない言葉です)・・・・」と罵詈雑言をあびせるほどだったのです。

しかし、当時のアリアン・ロケットのエンジンのことを理解すれば、この批難がズレていたことがわかるはずです。やはり、あるていどは技術的なことも理解しておくべきでしょう。

RD-253燃焼室2

「理解しておくべき情報」を、「nstl Kosmo Rondo」のWebサイトに掲載しました。今回は、エンジンについての話です。きれいなCGで説明しているので、わかりやすいと思います。CGは、映画「テルマエロマエ」における古代ローマの光景を製作した、後藤克典さんの協力です。

http://nstl.org

にアクセスし、「宇宙開発」→「エンジン(1)」と進んでください。

日本の有人宇宙開発に関する社会意識調査の報告書を公開

文学研究科の太郎丸先生の授業で実施して頂いた、日本の有人宇宙開発に関する社会意識調査の報告書が、京都大学学術情報リポジトリ「KURENAI」で公開されました。

京都大学文学部 社会学研究室 2014年度 社会学実習 報告書「宇宙開発に関する世論調査」

この調査は宇宙総合学研究ユニットからの依頼により、調査実習のテーマを日本の有人宇宙開発に関する社会意識調査として実施したものです。オープンアクセスとなっておりますので是非、ご覧下さい。

衛星データ入門「Fun Sat」をはじめました

fuji-suikei

衛星データの熱赤外線バンドを利用し、相模川水系をあらわしました(ビジュアル的にわかりやすくするため、画像処理により加工しています)。

FunSat

「Fun Sat」は、だれでもかんたんに衛星データを利用できるよう、わかりやすく説明しているページです。パソコンさえあれば、すぐに美しい画像を見ることができます。

必要な解析用ソフトウェアも、サンプルデータも用意してあります。

今回は、超初心者向けの入門編です。これから少しずつ、いろんな利用方法へとひろげてゆきます。下のアイコンをクリックすると、「nstl Kosmo Rondo」へジャンプします。Webページが出たら、「衛星データ利用」のタグをクリックしてください。「Fun Sat」のページがひらきます。

nstl_kosmo_rondo

JAXAとは

JAXAとは
2015/5/24 NAKANO fujio
JAXA についての説明

JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency : 宇宙航空研究開発機構)
2003年10月1日に、下記の3機関が統合されて発足。

〇宇宙開発事業団

(National Space Development Agency of Japan : NASDA)

2002(平成14)年度の定員数:1,090人。予算:1,447億円
HⅡ−Aロケットの打ち上げは、旧NASDAの業務。
ISSの運用は、旧NASDAの業務。
地球観測衛星(ALOS「だいち」vなど)の運用は、旧NASDAの業務.

H2Aロケット          USS国際宇宙ステーション  地球観測衛星ALOS「だいち」

H2AISSだいち

〇航空宇宙技術研究所

(National Aerospace Laboratory of Japan : NAL)

2002(平成14)年度の定員数:409人。予算:229億円

STOL:短距離離着陸実験機「飛鳥」の開発・実験は、旧NALの業務。

LE-5、LE-7エンジンの開発は、旧NALの業務。

超音速実験機の開発は、旧NALの業務。

FJR エンジン   STOL実験機「飛鳥」    LE-7エンジン   超音速実験機

FJRSTOL

NEXTLE-7

〇宇宙科学研究所(Institute of Space and Astronautical Science : ISAS)

2002(平成14)年度の定員数:291人。予算:180億円

糸川英夫によるペンシル・ロケットの実験は、旧ISASの成果。

小惑星探査機 MUSES-C「はやぶさ」の開発・運用は、ISASの業務。

月周回衛星 SELENE「かぐや」の開発運用は、ISASの業務。

ペンシル・ロケット  「はやぶさ」     「かぐや」       イプシロン

ペンシルはやぶさかぐやイプシロン

上記の3機関、すなわち宇宙開発事業団(NASDA)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙科学研究所(ISAS)の、

統合前の総定員数:1,790人。 総予算:1,856億円

3機関が統合され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)になったとき。

2003(平成15)年度の定員数:1772人。予算:1,851億円

2010(平成22)年度の定員数(常勤):予算:1,800億円

〇統合前の3機関のちがい。

NASDAは、宇宙開発”事業”団

NALは、航空宇宙”技術研究”所

ISASは、宇宙”科学研究”所

このちがいは、きわめて大きいことを理解しておく。

余談:JAXA誕生直後の10月15日、中国は長征2Fロケットで、初の有人宇宙船「神舟5号」を打ち上げ、 軌道投入に成功。そして「神舟5号」は地球を14周したのち、無事地上に帰還。

nstl Kosmo-Rondo を開設しました。

新しいWebサイト「nstl Kosmo-Rondo」を開設しました

nsrl_kosmo 新しい研究テーマについて考えるとき、画像やイラスト、ときにはMovieがあると、理解を進むことはいうまでもありません。とくに「宇宙開発」のような、一般にはあまり身近ではない分野の場合、文字だけの説明ではよくわかりません。やはり画像などの役割は、学ぶ上で重要です。

宇宙計画学、宇宙人文学では、多くの画像やソフトウェアを使用します。とくに宇宙人文学は、実質的には「衛星データの多機能化の研究」でもありますから、たくさんの衛星データをつかいます。

ただやっかいなことに、そうしたデータ・ファイルの一つひとつが、とても大きいのです。宇宙計画学研究室としては、そのようなデータもできるかぎりコンパクトなサイズのファイルにして、みなさんが自分のコンピューターでスムースに閲覧、操作できるような教材にしています。

しかしそうはいっても、教材ファイルやサンプル・データは膨大な量になってしまいサーバーの負担になります。そうした状況に対応するために、新たなサーバーを設置し、「nstl Kosmo-Rondo」というWebサイトを立ち上げました。

「nstl Kosmo-Rondo」には、各種の資料、衛星データ、サンプルなどを収納しています。教材のダウンロードもできるようにしています。今後は、「京都大学 Kosmo-Rondo」と「nstl Kosmo-Rondo」の両サイトを活用してください。下にあるバナーをクリックすると、「nstl Kosmo-Rondo」に移ります。

nstl_kosmo_rondo

宇宙ステーションのカメラを使いませんか?

ハイビジョン・アースビュー

国際宇宙ステーションに取り付けられているビデオ・カメラで、自分の見たいところを映しませんか。

国際宇宙ステーション(ISS)は、高度400km の地球周回軌道を飛行しています。そのISSの最前部、つまり飛行方向に対し先頭部に、日本のモジュール「きぼう(JEM)」があります。「きぼう」には、大型の船外プラットフォーム(曝露部)があり、その下面に2台のハイビジョン・カメラが取りつけられています。

アースビュー1

「きぼうハイビジョン・アースビュー」のWebサイトにアクセスすると、見ることができます。

http://earthview.jsforum.or.jp/earthview/index.html

ハイビジョン・アースビュー

地球に向けられたハイビジョン・カメラによる映像は、雲の流れや海洋の様子が鮮明に見えます。もちろん、晴れていれば地上の景観もくっきりと映し出されています。

「映像集・アーカイブ」をクリックすると、これまでに撮影された映像をごらんいただけます。

アースビュー・アーカイブス

映像はすべてWindows Media Player によるストリーミングです。Mac OS Xでごらんになる場合は、下記の「VLC」をインストールしてください。

https://www.videolan.org/vlc/index.ja.html

ところで、これで終わりなら、「JAXAのサイトでも見ることができるよ」といわれるかもしれません。

アースビュー2

しかし「ハイビジョン・アースビュー」では、撮影の地域の希望できるのです。

ツールバーにある「撮影要求」をクリックすると、左図のような「撮影可能範囲検索」の画面になります。ISSは、地球の軌道を周回しているので、いつでもどこでも撮影できるというわけではありません。そこでまずは、希望する場所、時間帯などを指定しながら、その上空をISSが通過するかどうかを確認します。条件が合致したら、「撮影要求」を申請します。

「撮影要求」を申請するためには、ユーザー登録が必要です。また、ただバラバラに要求するのではなく、一定の目的がなければなりません。たとえば京都大学のなかで研究グループをつくり、ハイビジョン・アースビューを利用した観測をするなど、目的は自由です。

何かやってみたい、という人は、「Kosmo-Rondo」のページあるいは中野に、直接メールでお知らせください。